「農」の絆再び 38年前の甲子園、帯広農高を演奏で応援 兵庫県立篠山東雲高校 新見朋一教諭

クラリネットと木彫りの熊を手に38年前を振り返る新見教諭(兵庫県丹波篠山市で)

 16日の2020年甲子園高校野球交流試合に出場する北海道帯広市の帯広農業高校(帯農)に特別な思いを抱く農業教諭がいる。兵庫県丹波篠山市にある篠山東雲高校の新見朋一農場長(55)だ。38年前、甲子園に出場した帯農の応援演奏に農高生として参加。今年の春の選抜大会でも再び演奏する予定だった。新型コロナウイルス感染拡大防止で球場へ入れない代わりに応援動画を作成。帯農への40年の思いを込めて、熱いエールを送る。(本田恵梨)
 

熱いエールを動画で 新型コロナで入場かなわず


 新見教諭は、和牛2頭やヤギ3頭、ウサギ3匹、犬3頭を飼養する篠山東雲高校で主に畜産を担当する。阪神甲子園球場がある西宮市出身で、高校野球は身近な存在。高校からクラリネットを始め、現在も地域のアンサンブルグループに所属する音楽好きだ。2017年には、吹奏楽部の前身となる音楽同好会を立ち上げた。

 高校時代、兵庫県加古川市の県立農業高校のブラスバンド部に所属していた新見教諭。3年生だった1982年に帯農の友情応援に駆け付け、クラリネットで帯農校歌やオリジナルの応援曲を演奏した。新見教諭は「アルプス席は特別な場所。独特な雰囲気に圧倒されて、あっという間に終わってしまった」と振り返る。

 帯農をまた応援したい──。自宅には試合後に帯農から贈られた木彫りの熊を飾り、地方大会の結果には毎年目を凝らし続けた。38年ぶりに出場が決まった今年、帯農からの依頼で、他の農業高校と合同で応援演奏をする機会が巡ってきた。

 待ち焦がれたチャンスだったが、新型コロナウイルスの感染拡大で帯農を含む32校の交流試合を開くことになり、応援には入れなくなった。新見教諭は「仕方のないことだががっくりきた。めったにない機会を生徒にも経験させてあげたかった」と話す。

 

吹奏楽部で作成した帯農への応援動画
 「フレー、フレー、お、び、の、う!」。新見教諭が吹く帯農の校歌に合わせ、部員が声を張って応援する。球場演奏の代わりに、2分間の応援動画を部で作成し、動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿。帯農の活躍が農高生の励みになっていることなどを伝えた。応援動画は新型コロナによる休校中に、農業実習の動画を投稿して生徒の学習を補助していたことがヒントになった。新見教諭は「球場に行けなくても同じ農高として帯農を応援しないわけにはいかない。動画が少しでも力になれたらうれしい」と話す。新見教諭は、試合当日は自宅で中継を見ながら帯農にエールを送る予定だ。
 

<ことば> 2020年甲子園高校野球交流試合


 新型コロナの感染拡大の懸念から中止となった第92回選抜高校野球大会に出場予定だった32校を、日本高野連が阪神甲子園球場に招待した試合。農業高校で唯一出場するのが21世紀枠で出場予定だった帯広農業高校。16日の第2試合、群馬の高崎健康福祉大学高崎高校と対戦する。
 

十勝牛のグラブも注目

 

 

十勝牛の皮革で作ったグラブで甲子園に挑む主将でエースの井村選手(2月撮影)
 交流試合では帯広農業高校ナインが使う十勝牛の皮革で作ったグラブにも注目だ。地元産のグラブで大舞台に挑むのは主将でエースの井村塁選手(3年)、打の中心4番で一塁手の前田愛都選手(同)、リードオフマンで三塁手の西川健生選手(2年)。3選手とも農家の子弟だ。

 このグラブは、音更町の野球用具専門店で販売する。十勝牛の皮革を兵庫県姫路市でなめし、奈良県桜井市のグラブ製造工場で仕上げた郷土愛あふれる一品だ。

 帯農野球部OBの兄からグラブをプレゼントされた井村選手は「甲子園でのプレーを通じ、農家らに勇気や希望を与えたい」と張り切る。

 地元農家も3人のグラブに熱視線を送る。帯広市の酪農家で帯農OBの中村寿夫さん(66)は、「十勝牛の皮を使ったグラブが甲子園で見られると思うとわくわくする。『バシッ』と響く捕球音にも注目したい」と試合を心待ちにする。
 

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